羽根を奪われた僕らが羽根を持つ者に学ぶ
○森の中
森で寛ぐ渡り鳥のムック
ムックのナレ―ション
「僕は渡り鳥のムック。 住みやすい環境を探して色んなところに羽ばたいていく。 友人のニックから聞いたが人間は苦労人とか落ち着かない者とか言ってるらしい」
「俺はこの空が好きだ。どこまでも続いていく様なこの透明感のあるブルー。くちばしが届きそうで届かないその儚い夢の様な・・・」
「しかし地上を見れば固い地面が続いている。いつの間にか人間とやらが作ったものらしい。あんな所に住まいを作っては人間は住みやすい環境に移動出来るのか? そこで暮らす意味があるのか?」
「僕は色んな所を転々とする。もちろんストレスなんてない。生きやすい所を探してそこで生きていけるから」
「人間とやらは生きづらいらしい。それもニックが言ってた。縛られた環境で怒りを抑え、羽根を伸ばす事が出来ない。いつの間にか生きる事の意味を差し替えられ自由を奪われているらしい。人間とやら、この青空を見上げるんだ。このどこまでも続きそうな夏の青空。儚いブルー。そこに飛ぶ俺を見て自由を感じないか? 冬になれば南の国に渡り、暖かい冬を越す。人間とやら、この星に生まれた奇跡を活かせ」
終わり
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