TOCCHI-NICOLSON

気の向くままに

誕生日は大切に

無津呂はその日、自分の誕生日だと思い出した。

と、いうのは会社の同僚、部下にお祝いをしてもらったからだ。
それまで連勤の疲れを癒す為、その日は家でゆっくり休もうと思ってた。
いつもは滅多に誘わない後輩が「今日の夜予定入ってますか」と話しかけてきたのが、思い出すきっかけとなった。
 
僕は26年をその日振り返った。
夢を追いかけていた時代。変わっていく人間関係。出会いばかりではなく別れも増えてきた。
出会いの数だけ、別れも増えると言うが、出会いは若いウチにしてきた。感覚としては別れが20対80の割合いで多い気がしてる。
 
 
 
あれ?
こんな風に考えた事あるか? 無津呂は自分に問い掛ける。
仕事や何やら、時間浪費泥棒に考える時間を奪われ、誕生日や年末年始、いつもの毎日にしていた。いつもの毎日だ。
自分をかえりみる時間を作らないと、日々の暮らしに変化はこない。
 
変化するなら行事をきちんと行う事。
 
無津呂はテレビも付いていないリビングで時計の秒針が刻む音を聞きながら、考える。午前二時。