TOCCHI-NICOLSON

気の向くままに

起きた出来事の一部だけ抜粋する事

◯とあるカフェ

アイドルの潤と、マネージャーの田宮が席に座っている。

ジュン「起きた出来事の一部だけを抜粋する事はずるいと思わない?」

田宮が机の上に置かれたバッグの中から雑誌を取り出す。

雑誌の記事に「清純派アイドル、男性人気アイドルと夜の街へ」と書かれている。

田宮「出来事には全て繋がりがあるはずなのに、一部分だけを抜粋して話して悪い事に見せたり、良い事に見せたり出来ますからね」

ジュン「ほんっと勘弁して欲しいわ」

田宮「真実は自分しか分からないのに、他人が真実を知っているかの様に振る舞う」

ジュン「これ見てよ。ファンからも、もうジュン推し辞めるって」

と、ツイッターへの書き込みを見せる。

田宮「その場に居れば否定して訂正できますが、居ない場所で言われるとそれがどこの誰かの真実になりますから」

 ジュン「田宮、この炎上どうにかしてくれない」

田宮「本当の真実はもう自分の中にしか存在しないんですよ」

と、不気味に笑う。

ジュン「はっきり言って、こんな気持ち悪いファンに推されてもしょうがないわ。もっと金を注ぎ込んでくれる人から推して欲しいわ」

田宮「真実とは怖いものです」

田宮のバッグの中にはICレコーダー入っている。録音中のランプが赤く光る。

終わり

TOCCHI