君はこの人生で何を見るのか?
○街
横断歩道に目がけて走るトチオ(25)。間に合わず信号が赤に切り替わる。
○横断歩道
トチオ心の声「前にいたおじいさんが歩くの遅いから・・・」
トチオ腰に手を当て信号を見つめる。
先程前にいたおじいさんがヨチヨチと歩き、横断歩道の前に立つ。
トチオN「僕は今若いけど、僕よりも40年、50年長く生きている人が同じ空間にいる」
※N=ナレーション
トチオN「自分と重ねてみる」
トチオN「これから僕が年老いく中、人生で何を見ていくのだろう。この世界を見る事が出来るのは人間の特権だ」
トチオN「8月の蝉はこの世界を見たくても見れない。僕はこの変わらない暮らしの中で 同じ景色を見て声を枯らしていくのか。いや、僕はこの世界に僕という意識でやっと生 まれてきたんだ」
トチオN「笑ったり、感動したりして、一本一本シワを作っていきながらこの素晴らしき、美しい世界を見ていたい」
トチオN「僕はこの人生で何を見るのか」
信号が青に変わる。歩き出す、人々。
終わり
TOCCHI